やさしくない…
ベッドから出てまずカーテンを開けた。


それからもう一度外を確認する。
雪が積もってないか。
路面は凍ってないか。

いま住んでいるところは、地名に【丘】という文字が付くだけあって坂が多い。
寒さもきびしくなると、車のタイヤがキュルキュルと空回りする音が聴こえてくる。
朝からそんな音がすると、あたしはゲンナリする。

徒歩通勤のため、冬場の坂道とのたたかいはキビシイ。

降り口でまず路面を確認する。
どこなら比較的すべらなそうか。
まぁ、確認したところでどうしようもないのだが。
それから諦めのため息を一つついて、歩き始める。

年々、ビビり過ぎて狭くなる歩幅。
一度滑って転んでしまえば、恐怖感も無くなるだろうか。

いや。
毎朝すれ違う人たちに見られて、羞恥心が増す。
通勤ルートを変えたくなるだろう。
そんなの、メリットなんて少しも無い。

そう。
手を引いて支えてくれるのもうれしいけど、
あたしには笑い飛ばしてくれる人のほうがいい。
「バカだなぁ」とか言いながら。
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