難あり編集者と極上に甘い結末
店頭に並ぶ前の商品や、廃棄のお弁当などが置かれているバックルーム。その隅にあるデスクと、二つのイス。そこに私とオーナーは向かい合って腰をかけた。
「それじゃあ、これから面接をさせていただきますね」
「はい。よろしくお願いします」
履歴書を手渡すと、オーナーがそれにさっと目を通す。本当に流し見るようにして履歴書を確認したオーナーは、視線を上げて私を見るなり「これから、よろしくお願いしますね」と笑った。
「えっ、私もう受かったんですか?」
「ええ、そうですよ」
驚く私の目の前でくすくすと笑うオーナー。
通常、アルバイトの面接といえば、面接をしてから一週間程度で合否の連絡が来るもの。中には、余程人が足りていないなどの理由で当日に受かる人もいると言う話は聞いたことがあったけれど、まさか、今日決まってしまうなんて思っていなかった私は驚きを隠しきれなかった。
「いつもここ、来てくれてるでしょう? ただ、貴方が常連さんだからってわけじゃなくて、いつも愛想の良いお姉さんだなあと思ってたのよ。だから、こちらからも是非お願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします!」
そう言って、椅子に腰をかけたまま小さく頭を下げる。そんなオーナーにつられるかの様に、私も深く頭を下げた。