難あり編集者と極上に甘い結末

 一時間程度作業を進めると、岩崎さんが「休憩を入れよう」と提案した。内心、そろそろ休みたいな、なんて思っていた私が快く頷くと、彼はソファーに移動し、腕をぐっと伸ばしながらくつろぎ始める。

「あー、今飲むお酒は美味いだろうなぁ」

 岩崎さんは独り言のようにそう発すると、他人の家であるにも関わらず、とってもリラックスした表情で瞼を閉じた。


「あの、私の出身地の地酒ありますけど、飲みます?」

「え、本当?」

 彼の独り言を耳にし、ふと母から送られてきた地酒の存在を思い出した私が発した言葉。それを聞いた彼は、ぱっと目を開けて嬉しそうな表情でこちらを見た。

「はい。実家の母が送ってくれた地ビールなんですけど、これがすごく美味しくて。今、出しますね」

 椅子から立ち上がり、キッチンの隅っこにあるダンボールを覗き込む。三本、未開封のまま置いてあるビール瓶。私はそのうちの一本と、グラスを一つ手にすると彼の座るソファーの前のテーブルにそれを置いた。

 とくとく、と音を立てながらグラスに注がれていくビール。ちょうどグラスいっぱいに注いだビールを彼に手渡すと、彼は受け取るなりすぐに一気飲みをした。

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