難あり編集者と極上に甘い結末
四月も残り僅かで、来週末から五月に切り替わってしまう。
来週私のもとに挨拶に伺うとメールで言っていた、知代さんに代わる新たな担当者。岩崎(イワサキ)と名乗った彼のことは頭の片隅にちょこっと置いたくらいで、私はまたすぐに自分の作品を書き始めた。
今度こそは、と書き綴るハッピーエンドになるはずの恋愛小説。私は、二、三日も経つと早くも行き詰まってしまっていた。
気晴らしに外に出たり、友人と食事に行ったり、アルバイトのシフトをいつもより長く入れてみたり。色々試してはみたが、やはり、どうしてかバッドエンドな方向に話が進んでしまう。
自宅で一人、どうしようかと悩みに悩んでいた月曜日。突然、滅多に鳴らないインターホンが部屋中に鳴り響いた。
「誰だろう」
普段、郵便物か、或いは担当だった知代さんが出入りするくらいで、私の家を知る友人もごく僅か。
知代さんは割と頻繁に来てくれてはいたが、いつも事前に連絡をくれていた為、郵便物だと予測した私は軽く髪を結うと玄関のドアを開けた。