難あり編集者と極上に甘い結末
幸せの形
──翌日。
シフトに入っていた私は、18時前にコンビニへ出勤すると、いつものようにレジカウンターにいた。
「如月さん、如月さん」
「あ、はい。何? 須賀くん」
レジカウンターの奥から、揚げたての揚げ物を入れたバットを持ってやってきた茶髪の彼は、このコンビニの学生アルバイター、須賀秀太(すがしゅうた)くん。
彼は大学二回生の20歳で、大学終わりに、お小遣いを稼ぐ為このバイトに入っているらしい。
「俺ね、今日彼女できたんですよ」
「え? そうなの。良かったね」
嬉しそうに笑いながら、私にプライベートな報告をしてくる須賀くん。彼とシフトが被ったのはまだ3回程度だが、彼は私に何でも話してくれる。きっと、人懐っこい性格なのだろう。
「本当は俺から告白するもんだと思うんですけど、今日、彼女の方から告白してきてくれたんです」
へへ、と子犬のように、瞳を三日月型にして笑う彼は、言わずとも幸せそうだ。
「いいね、若いって。青春じゃない」
私には、須賀くんがとてもキラキラしていて、眩しく見えた。
恥ずかしさとか、周りの目とか、そんな事は何も気にせず自由に恋愛ができたあの頃。私にも、そんな無邪気な時期があったな、と懐かしく思った。
「如月さんは、青春してないんですか?」
「え? 当たり前じゃない。だって、私何歳だと思ってるの」