難あり編集者と極上に甘い結末
雑誌の裏表紙にあるバーコードを読み取り、レジ操作を進める。そして、お会計を済ませると、私は須賀くんに視線を移した。
「須賀くん、早くそのホットスナック並べたら?」
「あ、そうでしたそうでした」
須賀くんがずっと抱えていたバット。そこには、揚げたてだったはずのチキンや唐揚げが並んでいる。
私の指摘に、彼は慌てた様子で返事をすると、チキンや唐揚げをショーケースの中に並べ始めた。
「さっき如月さんがレジした人いるじゃないですか」
「あの、成人雑誌をいつも買って行く色白の男の人?」
ついさっき私がレジをした、恐らくこのコンビニの常連であろう色白で細身の男の人。
その人を思い浮かべると、目の前の須賀くんが二度大きく頷いた。
「オーナーが言ってたんですけど、あの人、来ると長時間店内うろついたり外で立ってたりするらしいです」
気をつけてくださいね、と須賀くん。私は、そんな彼に「須賀くんもね」と冗談っぽく返すと、レジへとやってきたお客さんの対応を始めた。