難あり編集者と極上に甘い結末
「これ、再来週からのシフトです」
コンビニアルバイトのシフトが書かれた手のひらサイズのメモ紙。それを手渡すと、ソファーに腰掛けている岩崎さんが真ん丸く目を見開いた。
「え、まさか君、まだアルバイト続けるつもりなの」
彼の問いに、私は小さく頷いた。
「まだ初めて間もないですし、オーナーとか他のアルバイトの人達にもすごく良くしてもらってるので、迷惑はかけたくなくて」
「君って本当、生真面目というか、律儀というか」
私の言葉に、彼は少しだけ口角を上げながら呆れた表情をする。
「……まあ、そういうところも好きなんだけどね。ただ、ひとつだけ約束。夜遅いシフトの日は必ず迎えに行く。それだけは絶対」
「え、でも、岩崎さん忙しいのに」
「俺は、大丈夫。そんなことより、また何かあったらそっちの方が余程大変だから」
彼の優しさに、一気に暖かくなる私の胸。
こんなに優しい彼に、私は心配や迷惑をかけてばかりだ。何も返せていない。拓未のことだってそう。情けない私のせいで、彼に余計な心配をかけてしまった。
私は、未だ捨てられずカバンの中にしまってある拓未の名刺のことを思い出し、ひとつ決心をすると、ゆっくり口を開いた。