あの空の下でもう一度。
「じゃあお願い事しよっか……?」



私はアキトに笑って言う。



アキトはうん、と頷いてビンを持った。



私は目をつむって心の中でお願い事を唱えた。



隣を見るとアキトも目を閉じていた。



そして私がせーのと言って2人でビンを海へと入れた。



2つのビンは波に揺られながらどんどん見えなくなっていった。



完全に見えなくなって私はアキトを目を合わせて笑いあった。



「もう帰ろっか」



気が付けばもう夕日が海へと消えようとしていた。



これが…アキトとの最後の海。



帰りの道で私達はずっと黙ったままだった。


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