‐部恋。 Round 02‐


「じゃー、名前は…?」

『名前っ?
 えーっと…、桜井です。』


「あー、知らないや(笑)。」


首をかしげていると、
桜井と名乗る彼は笑って言った。


『俺は知ってますよ。
 サッカー部のマネさんっすよね?』

「あ――…、はい…?」


すると、一気に
数日前の記憶が蘇ってきた。


彼は部活の見学に来てたんだ!

ひとりで真剣に
練習を見てた人……!


「えっと、桜井くんだっけ?」

『あ、はいっ。』

「思い出したよ!
 部活見学に来てたよね!?
 サッカー部には入部しないの?」

『あ~…。とりあえずは。』

「そっか……。」


部活見学に来てた人の中で、
一番印象深かった人。

あんなに真剣な眼差しで
練習を見てたから、
てっきり入部かと思ってたのに、
なんでだろう?


でも――…。


訳を聞いてはいけない雰囲気が
彼から漂っていたので
私は聞かないことにした。


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