‐部恋。 Round 02‐


『長川は毎日文句言わずに頑張ってるな。』

そう言って監督は同じベンチに腰をかける。


「そんなことないですよ。文句だって言いたくなるときはありますよ。」

私は笑ってそう言うと、監督も一緒に笑ってくれた。


『文句は言いたくなっても、実際には口に出してないだろ?』

「うーん…そうかもしれないです。」


『最初はちゃんと1年もつのか心配だったが、気付けばお前も入部して1年たつんだよな。』

「そうですねー…。」


入学して少し遅れたサッカー部の入部。
去年の今頃、健ちゃんに誘われて入部を決めたんだ。


『長川はよく頑張ってくれてるよ。いつも明るく元気で。お前のそういう姿が部員に元気を与えてくれてんだぞ。』


「…ありがとうございます。」


監督の言葉が素直に嬉しくて、なんだかうまく笑えなかった。

私って幸せ者だなぁ~。

なんで私の周りにはこんなにも素敵な人がたくさんいるんだろう。


みんなはちゃんと私を見てくれているんだ。

私ももっとみんなのこと見てあげなくちゃ。



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