‐部恋。 Round 02‐
『バレちゃったかー…。ださいっすよね。』
「ううん。そんなことない。」
『……。俺、サッカーは今でも好きですよ。』
「それはさっき分かったよ。体育楽しそうだったね。」
『先輩、いつから監視してたんすか(笑)?』
「え、秘密(笑)。」
『体育みてたなら分かると思うけど、遊び程度のサッカーは普通に出来るんですよね。…でも、俺は一生本気でサッカー出来ない足なんです。』
一生…?
そう言って、桜井くんは笑って話すけれど、私の心臓はズキズキと痛んだ。
だって桜井くん、いま無理して笑ってる。
『本気でサッカーしちゃうと、走ることも出来ないくらい大きな怪我に発展しちゃうみたいで。なるべく体育も控えた方がいいんだろうけど、成績落としたくないし、体動かさなくてデブになりたくないし…(笑)。』
そんなの言い訳って分かるよ。
言い訳が「サッカーがしたい」って強く聞こえるよ。
「うちのサッカー部には桜井くんを待ってる人がいるよ。桜井くんの怪我のことを知ったって、変わらず待ってると思うんだ。サッカーをためらう気持ちは本当によく分かるよ。でも、サッカー以上に大切な仲間ができると思う。私が保証する!強制はしないけど、ちょっとでも悩んでるなら誰でもいいから部員に話してほしいな。」
『分かりました…。ちょっと考えさせてください。今、他の部活もいいかなって少し思ってたところだったんで…。』
「うん。桜井くんの答えが出たならあたしはもう何も言わないよ。」
『それにしても先輩、中島よりも部活愛、はんぱないっすね(笑)!』
「当たり前でしょ?部活を支えてるんだもん。」
私が得意げに威張ってみせると、桜井くんはまた笑う。
この笑顔は本当の笑顔だ。