おいしい話には裏がある
「雪杏は絵を描いてるときは気にしてあげないと、飲まず食わず眠らずだからな。瓏や奥さんや友達が見張ってる。彼氏がいるときは彼氏が気にしてるみたいだけど、絵の方が大事にしてるようにみられて、相手が未練たらたらで諦めて去っていくパターンが多いよな。」

「彼氏…?今はいるのか?」

あーくん怖い。

なんだかとても威圧的!

『しばらくいない。高校生の時から長期休暇の度に留学してたから、自分がいなくても平気なんだなってフラレる。そんなことないんだけど…それが続いたから、もう彼氏作ってない。好きな人もできないしね。』

「…そうか。オレは好きになって付き合ったことないから、わかんねぇけど…好きなら、絵も引っくるめて好きになって欲しいよな…。」

『うん…。』

そうなんだよね。

好きなんだけど、私も集中しちゃうと蔑ろにしてしまうから、相手に不安を与えるんだよね。

本当に信じ合える人に、巡り会えたらいいんだけどな。

今のところ難しいわ。

てか、私達普通に話してるけど。

イヤじゃないのかな?

『嵐瓏さん、私と話すのイヤじゃないの?』

「イヤだな。」

やっぱり…。

『だよね。』

あんな生意気なこと言ったんだもん。

自分の意見や発言を変えるつもりはないけど、相手がイヤな思いをしたのは確かだから。

「ちげぇよ。イヤなのは呼び方だ。ちゃんと戻せ。」

『呼び方?』


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