おいしい話には裏がある
……と、まぁ散々駄々をこねたところで、決定事項らしくぽいっと追いやられてしまいました。

とりあえず、朝と夕御飯の介助とお風呂のちょっとした手助けと、病院の付き添い等々位で、期間も2ヶ月間らしい。

今はバイト初日の夕方で渋々、理一くんのところに向かっている。

理一くんのお家はわりと近いけど、行ったことはもちろんない。

昔、まだ私が小さかった時は、父に連れられて遊びに行ってたらしいけど、よく覚えていない。

…こんなバカでかい家だったっけ?

どーんと構えてる大きな門を見上げながら、立ち止まる。

見張りの強面さんが二人いて。

無表情でこっちを見ています。

私もじっと見返してみる。

「お嬢ちゃん、何か用か?」

ガタイのいい強面さんのひとりが、怪訝な顔して聞いてきた。

『あのぅ、私今日から組長さんのお世話をすることになりました、羽山雪杏といいます。』

「ああ、瓏(ろう)さんの娘さんですか!どうぞ、ご案内します!」

強面さん、丁寧でいいひとだ。

やっぱり父の言うとおり、人は見かけによらないな。

中に入ってまたびっくり。

どっかの庭園ですか、ここは。

なんて広さ。

掃除がめんどくさそうな家に庭。

こんなとこ住みたくない。

まぁ、私は朝と夕方の通いだけどね。

当然、日曜は休みをもらったよ。



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