おいしい話には裏がある
「はいっ!瀬戸さんに一度選んでもらいました!またおねがいしたいですっ。」

元気に言いきった美紅。

時が止まり、空気が固まり、美紅以外誰も動かない。

「…あんた、そんなバカな子だったの?軽すぎ。」

冷めた目で咲里が美紅を見る。

「だって、すっごい噂だったし、誰でも良いって有名だったから。瀬戸さんも炎さんもカッコいいし、気になるじゃん。」

あっけらかんと言って笑う美紅。

『…咲里、帰ろ。』

「了解。美紅~、私達価値観の違いがあるみたい。友達にはなれないから、もう誘わないでー。瀬戸さん、自業自得ですね。もう、あなたが欲しいものは、手に入りませんので、諦めてくださいねー。」

前半は美紅に向けて、後半はあーくんに向けて。

咲里は本職相手に堂々としてた。

なんか…最近話してたことが身近で起きて、頭がついていかない。

まだ半年だけど、友達にそういう子がいて、あーくんとえっちしてた現実。

不特定多数っていうのを、まざまざと見せつけられた感じで複雑。

あーくんと仲良くなれそうだと思ってたのになぁ。

なんか…とってもムカムカする。

あれから別れるまで、何にも言わなかった咲里。

「バイバイ。また月曜日ね。」

それだけ言って、帰っていった。

『うん…バイバイ。』

私もそれだけしか返さなかった。
< 24 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop