おいしい話には裏がある
「失礼しました。家は何処ですか?お送りします。ちなみにお名前は?」

メガネさんが嬉しそうに言ってくるけど。

知らない人に名前を言いたくないし、家なんて言えない。

『ここから近いので、その先のコンビニで降ろしてください。名前は…知らない方には教えるなと、親に言われてますので、すみません。』

「加賀旭日(かがあさひ)だ。オレの名前を教えたんだから、教えろ。」

強引!

私は聞いてないのに。

『……雪杏です。』

「名字は?」

すかさずメガネさんが聞いてくる。

ちょうどその時、コンビニに着いた。

『名字は次にもし会えたら…教えます。その時は何でも質問してください!』

「上等だ。おもしれぇ。次に会ったら、絶対捕まえるからな。」

ニヤッと笑う藍色さん、もとい加賀旭日さん。

もう会うこともないと思うから。

『送って頂きありがとうございました。さようなら。』

ニッコリ笑って、治った腰を上げてその場をあとにした。

もう会わないと、この時は何故か自信をもっていたんだ。
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