おいしい話には裏がある
いちおまだ学生ですから。

それにしても。

家に入ったときから、視線が刺さる刺さる。

強面さんだけじゃなく、まだ若い男の子もいるし、組長の理一くんより年上のおじさんもいる。

直接話しかけてはこないけれど、誰だ?って顔に書いてある。

そこに見知った顔が目に入る。

「雪杏。」

『朔ちゃん!』

190センチはある高身長の、黒いスーツの男の人の腰に迷わず抱きつく。

確か40代後半だけど、まだまだ30代でも通用する若さの組長の側近の1人。

いつも理一くんと家に来てたから、すっかり仲良しさん。

もう1人は岳(がく)くんといって、今はきっと理一くんのお傍でしょう。

二人のどちらかが必ず理一くんの傍にいて離れない。

まぁ、お家の中じゃずっとってわけじゃないみたいだけど。

ニコニコ笑いながら、朔ちゃんは私の頭を撫でてくれる。

それにざわつく周囲のみなさん。

それを気にもせず、朔ちゃんは私を片手で抱き上げて歩き出す。

「組長がお待ちかねだぞ。」

『ねぇ、これって理一くんの陰謀じゃない?』

「まぁ、じゃないとは言えねぇな。」

『やっぱり…。』

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