おいしい話には裏がある
「雪杏、オレにはぎゅーぎゅーしないのか?」

不服そうに拗ねてる大人一人。

『だって、理一くんケガしてるから。』

「大丈夫だ、来い。」

手を広げて待つ理一くんに、「オヤジ、キモイぞ。」毒を吐く嵐瓏さん。

「いつもこんなか?」

呆れた顔して私に聞いてくる。

「雪杏は抱き心地が最高なんだぞ!」

私が答える前に理一くんの変態発言出ました。

「変態か。」

そう言いつつ、何故か私の腕を引っ張り、膝の上に乗せ後ろから抱きついてくる嵐瓏さん。

…初対面なんですが。

「嵐瓏!」

何人もの絶叫。

離せの言葉にも耳を貸さない嵐瓏さんに、私は抱きつかれたまま、匂いを嗅がれてます。

「確かに抱き心地いいな。それにいい匂いだ。オヤジ、雪杏くれ。」

親子揃って変態か。

てか、私は物じゃない!

どんなに身を捩っても、嵐瓏さんの腕から抜け出せそうもない。

『離して~!』

「イヤだ。」

『嵐瓏さん!』

「雪杏、呼び捨てでいい。」

『もぉっ、あーくんっ!離して!』

少し赤くなった顔で、「それもいいな。雪杏が言うと可愛いな。」って、離してくれない。

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