おいしい話には裏がある
…そして、諦めた。

『炎さん、昴さん、試しにあーくん引っ張ってみませんか?』

諦めたけれど、最後の頼みに綱である側近二人の顔を交互に見ながらお願いしてみる。

「なんで?!」

双子のびっくり顔。

「わざと立ち位置入れかわったのに、なんで見分けられたの?今、ちゃんと名前呼びながら顔見たよね?母親でさえ間違うときあるよ?!」

炎さんが可愛いお顔で覗きこんできた。

二人そっくりなんだけどね。

『う~ん。オーラ?が違う。炎さんは色でいうと、オレンジ色かな。人一倍明るいけど周囲の人に一番気を配ってるよね。昴さんはそれに少し白が入ったような…とても繊細なのね。人の奥底を見ようとしっかり見極めてる。でも優しい人なのね。』

あーくんがさらに抱き締める強さを強めながら。

「じゃあ、オレは?」

私は身体をくるっと捻って、あーくんの頬に手をそえる。

『あーくんは銀色ね。ピカピカだわ。何にも染まらず、キレイな色。人の上に立って導いていける人。自然にこの人についていこうと思わせてくれる…理一くんに似てるよ。 』

「そうか。お前は透明だな。何色にも染まらないが、何色にも染まれる。」

フッと柔らかく微笑みながら、私の頬をするりと撫でる。

なんかすごくホンワカ嬉しい気分になった。

二人で見つめあってると。

「いいな~雪杏って!オレは炎でいいぞ。昴もな。で、若、ちょっと雪杏抱っこさせてくれ!」
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