魔法使いの素質ナシ?
ダイニングテーブルには既にアフタヌーンティーの準備が整っていた。

結愛のお気に入りのコップに入れられたダージリンティーに、おしゃれなお皿に飾られた紅茶のクッキー。

魔法を上手く使えずに落ち込んでいた結愛であったが、自分の好きなクッキーを確認すると、少しだけ気持ちが和らいだ。


「結愛はなん組になったの?」

目の前でダージリンティーを飲みながら、
お母さんが聞いてきた。

「1年S組だった」

「あれ?
蔡華学園って1組とか2組とかそういう感じじゃなかったけ?」

「うん、4組までは普通にね。
なんか、S組のSは素質のSなんだって

だから、他のクラスよりも魔法実習が倍もあるの。
コンセプトとしては、強い魔法使いを育てるためだって」

結愛はホームルームのときに先生が言っていたことを、そのまま親に伝えた。

「でも、結愛?
入学試験の時に実技が出来なかったって言ってたのに、なんでSクラスなんだろうね?

隠れた才能を見いだされたやつ?」


お母さんは娘が落ち込んでいるのを、知っていながらも、敢えて傷口をえぐるように聞いてきた。

結愛はそんなことを言われると思っていなかったらしく、驚いて手にしていたクッキーを落としてしまった。




「ただいま戻りましたぁ!」



ちょうどその時、お姉ちゃんが瞬間移動で戻ってきた。

「あら、ちょうど良かったわ
凜、帰ってきてすぐ悪いんだけど、結愛にアドバイスをあげて?

ほら、二人とも!
庭に行った行った‼」
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