魔法使いの素質ナシ?
「失礼します!
佐倉先生に用があってきました」
茜が職員室に入ると同時に、まだ手を繋がれたままの結愛も職員室へ入室した。
「あら、相沢さんと本城さんじゃない?
どうかしたの?」
「えっと…」
結愛がどう伝えればいいがわからず悩んでいると、そのまま結愛の言葉を茜が引き取った。
「先生にお願いがあってきました。
本城さんも自宅通いではなく、寮通いにすることはできませんか?」
唐突なお願いに先生は再び聞き直したが、言っていることは変わらなかった。
「えっと、本城さん?
どうしたのかな?
確かに部屋はまだ余っているけど入学してから寮にはいりたいなんて…
予めアンケートは取ってたよね?
えっと…
ほら、ここに自宅から通うって」
「ええ、それはそうなのですが…
やっぱり駄目ですか?」
「それは、私の一存では決められないわ
そうね…
とりあえず校長先生に確認してみるわ。
それでもし許可が降りれば、今日の放課後に貴方の親を交えて面談して決めることになるわね。
もう戻っていいわよ」
「わかりました。
それでは失礼しました」
先生に一礼してから二人は職員室をあとにした。
職員室をでてから茜はずっと別に部屋があるんだからいいんじゃないの、と教室に戻るまで言い続けていた。