佐倉小花の幽愛白書
「私はそんな事一言も言った覚えは無い!」
「先生は先程の質問でお付き合いをする女性は黒髪の長身で成績優秀な家事も出来る人間が理想だと仰っています。つまり私です」
「イエスかノーの返事だけでよくもそこまで曲解してくれたな!」
何なのだ今日の佐倉小花は。
いつもはもっと無口で授業中に他の生徒とお喋りをしているところだって見たことは無いのに今の彼女はやけに饒舌ではないか。
「そもそも私と君は教師と生徒だ。教職に付く者として教え子とそういった関係になるわけにはいかない」
「では私の卒業後に正式にお付き合いを開始するということでよろしいでしょうか?」
「よろしくない!」
まるで圧力をかけるかのように交際を迫ってくる佐倉に私のストレスは最早限界であった。多少強引にでもここから早く逃げなくては。
「すまないが雑談はここまでだ。私は職員会議があるので失礼する」
「では終わるまでここで待っていますね」
「待たんでよろしい!!」
そう言って私は理科準備室を後にした。
どうやら今日は厄日らしい。もう帰ってゆっくり休むとしよう。
そうして私は逃げるように学校を後にした。次の日から本当の恐怖が訪れるとも知らずに。