大阪感情線
つくづく思う。
時計はよくもまぁ、四六時中働くなぁと。たまにストライキしようものなら、すぐ電池を交換されて、また働きだす。そうしなきゃゴミ箱行きだと分かっているから、交換したばかりの目覚まし時計が今日も私の枕元でバタバタ騒いでる。


カーテンの隙間から差し込む朝日に背を向けて、けだるい体を立てる。
駄々をこねる子どもを宥めるように、目覚まし時計へ「はいはい」と声をかけるのが私の日課になっていた。

別にこの時計に特別な思い入れがあるわけじゃないけど、なんだか毎朝この音を聞くと安心する。たかが電池一本のおまえがこんなに働けるなら、私はもっと出来るはずだって思えるからかもしれない。


この人が出来るなら私にも出来るはず。
とか
コレが出来るならアレも出来るはず。
とか…。

私は何かと自分の能力を比べる癖がある。
だけど、それは絶対人には言わない。
負けず嫌いだけど…ううん、負けず嫌いだからこそ「高崎優奈」が負けず嫌いだなんて他人に知られたくない。





a.m.7:00
時計をあやしてからトースターと湯沸器をセット。
そのままシャワーを浴びて夢の名残を洗い流す。



a.m.7:10
あったかいカプチーノをすすりながら、円相場をチェックしがてら一通りのニュースを把握する。

占いは今日も絶好調。細身のパンツに幸運があるんだとか。朝の顔たる局アナと星座が同じだからか、ここ数年、うお座が最下位になったのはたったの6回。

例え当たらないことが分かっていても、上位ランクを見るのもかすかな幸せだ。

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