an HappyBirthday letter
バースデーパーティの開催
1999-5-28
「まじさいあっくな夢」
そう言いながら私は洗面台の前で歯を磨いていた。せっかく昨晩プレイした
''らぶきゅん 先輩のシュート受け止めます♡ ''
の推しである颯先輩と上手くいったと思ったのに……。
え?先輩は実在してないのかって?
恋愛がいつでも触れることのできる相手と成り立つものであるとは限らないのだよ。そう悲しい言い訳をしながら私は歯ブラシを置いた。
「ごはん用意してるのよー」
母が私を呼んでいる。
「はいはーい!今すぐ行くよー」
そう言って私は足速に声のする方へ向かった。
私の家族はお母さん1人だけ。
別に悲しくはないんだけどお母さんの負担を考えると''お父さん''という存在が必要なのかなと考えてしまう。
私のお父さんは数年前に消えてしまった。
そう消えてしまったのだ。言葉のとおり。
まぁ、親戚の人達は浮気をした上、女と逃げたんだろうと言っていた。
確かに軽い父ではあったが、お母さんを愛していた。愛していたはずなんだけどなあ。
「なにぼーっとしてんのよ!」
コツンッという音と共に鈍い痛みが頭に響いた。
「いてっ!何すんのよ~」
そう言いながら私は頭をさすった。すると手には液体がついていた。おい、うそだろ。
性格、見た目は置いといて
一応私はJKとゆうものだ。
まさか、JKの頭の上に味噌汁がついているとは思わないだろう。
「お母さん……何で叩きましたん……?」
「へ?おたま」
そう言ってお母さんが掲げたのはお味噌汁をつぐためのおたまだった。なんならおまけにわかめがついている。あ~髪をツルツルにするためかな?☆もう~ミネラルパワー☆ いや、そんなツッコミをしている場合ではない。あと15分で出ないと遅刻する。
「お母さんのあほぉおおおおお」
そう言いながら再び洗面台に立ち頭を高速であらいドライした。かかった時間12分。
ふっ。我ながら上出来だ。
そう考えながら得意げな顔のまま、玄関の扉を勢いよく開け学校に向かって走り始めた。
「何も起きませんように」
そういって母は娘にばれまいと隠していた肩の震えを手で抑えた。
心臓はとうに限界を超えている。
バクバクがとまらない。
そう限定版DVDを買おうとして間違ってBluRayをぽちってしまったあの時と似ている。
もう校門を抜けた。手元の時計を見る。8:27。
ホームルームは8:30に始まる。
行ける。私にはやれる。そう感じた。
1年生の教室は幸せなことに1階なので階段を登る必要が無い。
よし。玄関を抜けた。あとは廊下を走りきるのみ。
お願い私の足。あと少し、あと少しでいいの。
動いて!!!!
完全に今期のアニメに影響されているセリフを考えながら聞こえたのはチャイム。
大丈夫。なり終わるまでが勝負。
ガラガラガラガラ
「おはようございます!わかめです!あいつがやったんです!!」
そう言いながら教室に入るとシーンとしていた。完全に滑った。これはやっちまった。そう思っていると。担任のゴリ男こと前田先生が口を開いた。
「おい、宇佐神。座れ。」
「は、はい?」
まさか。すぐ座らせてくれるとは思わなかった。1時間は立たせるのが前田先生のポリシーなのに。まぁ、お言葉に甘えようとおもい席に座ると、前の席には1輪の花が飾ってあった。
その席は私のかけがえのない友達。
今井弥生(いまい やよい)の席だった。
「へ?」
なんと間抜けな声をだしたのだろうか。
無意識に私の口から出た言葉だった。
前田先生はゴツゴツした手を握りしめ口を開き、震えた声でこう言った。
「今井 弥生さんが昨晩亡くなった。」
私はその言葉をすぐに理解できるような頭の作りではなかったため周りを見渡した。みんなぐしゃぐしゃの顔で泣いている。嗚咽ぎみに泣いている子もいた。
そんな状況の中 前田先生は続けた。
「詳しいことを知りたい奴もいるだろう。だが学校側は何も言えない。すまない。」
そういいながら先生は野太い声で泣き叫び始めた。だんだん自分の頭の中で整理がついてきた。今井弥生は亡くなったのだ。
弥生は小学生からの友達だった。
小学生からオタクだった私はクラスで浮いていた。だけど弥生だけは私を見てくれた。話しかけてくれた。そんな弥生だったからクラスでは男女共に人気があったのだ。
それなのに……。
今日5月27日は弥生の誕生日だからといってサプライズの計画さえしていた。
まさか、誕生日サプライズをしようと思っていた日に亡くなったという知らせを聞くとは。滑稽な話だ。
ユルサナイ
その言葉が頭に浮かんだ。別に誰かに殺されたなんて誰も言っていない。でもその言葉が浮かんだ。
不思議なことに涙は出てこない。その時の私を見た人はいうだろう。
''ひどいやつ''
そうだろう。別にそう思われても構わない。だって弥生を死においやった奴を殺すということしか考えていない私は''ひどいやつ''なんだから。
「まじさいあっくな夢」
そう言いながら私は洗面台の前で歯を磨いていた。せっかく昨晩プレイした
''らぶきゅん 先輩のシュート受け止めます♡ ''
の推しである颯先輩と上手くいったと思ったのに……。
え?先輩は実在してないのかって?
恋愛がいつでも触れることのできる相手と成り立つものであるとは限らないのだよ。そう悲しい言い訳をしながら私は歯ブラシを置いた。
「ごはん用意してるのよー」
母が私を呼んでいる。
「はいはーい!今すぐ行くよー」
そう言って私は足速に声のする方へ向かった。
私の家族はお母さん1人だけ。
別に悲しくはないんだけどお母さんの負担を考えると''お父さん''という存在が必要なのかなと考えてしまう。
私のお父さんは数年前に消えてしまった。
そう消えてしまったのだ。言葉のとおり。
まぁ、親戚の人達は浮気をした上、女と逃げたんだろうと言っていた。
確かに軽い父ではあったが、お母さんを愛していた。愛していたはずなんだけどなあ。
「なにぼーっとしてんのよ!」
コツンッという音と共に鈍い痛みが頭に響いた。
「いてっ!何すんのよ~」
そう言いながら私は頭をさすった。すると手には液体がついていた。おい、うそだろ。
性格、見た目は置いといて
一応私はJKとゆうものだ。
まさか、JKの頭の上に味噌汁がついているとは思わないだろう。
「お母さん……何で叩きましたん……?」
「へ?おたま」
そう言ってお母さんが掲げたのはお味噌汁をつぐためのおたまだった。なんならおまけにわかめがついている。あ~髪をツルツルにするためかな?☆もう~ミネラルパワー☆ いや、そんなツッコミをしている場合ではない。あと15分で出ないと遅刻する。
「お母さんのあほぉおおおおお」
そう言いながら再び洗面台に立ち頭を高速であらいドライした。かかった時間12分。
ふっ。我ながら上出来だ。
そう考えながら得意げな顔のまま、玄関の扉を勢いよく開け学校に向かって走り始めた。
「何も起きませんように」
そういって母は娘にばれまいと隠していた肩の震えを手で抑えた。
心臓はとうに限界を超えている。
バクバクがとまらない。
そう限定版DVDを買おうとして間違ってBluRayをぽちってしまったあの時と似ている。
もう校門を抜けた。手元の時計を見る。8:27。
ホームルームは8:30に始まる。
行ける。私にはやれる。そう感じた。
1年生の教室は幸せなことに1階なので階段を登る必要が無い。
よし。玄関を抜けた。あとは廊下を走りきるのみ。
お願い私の足。あと少し、あと少しでいいの。
動いて!!!!
完全に今期のアニメに影響されているセリフを考えながら聞こえたのはチャイム。
大丈夫。なり終わるまでが勝負。
ガラガラガラガラ
「おはようございます!わかめです!あいつがやったんです!!」
そう言いながら教室に入るとシーンとしていた。完全に滑った。これはやっちまった。そう思っていると。担任のゴリ男こと前田先生が口を開いた。
「おい、宇佐神。座れ。」
「は、はい?」
まさか。すぐ座らせてくれるとは思わなかった。1時間は立たせるのが前田先生のポリシーなのに。まぁ、お言葉に甘えようとおもい席に座ると、前の席には1輪の花が飾ってあった。
その席は私のかけがえのない友達。
今井弥生(いまい やよい)の席だった。
「へ?」
なんと間抜けな声をだしたのだろうか。
無意識に私の口から出た言葉だった。
前田先生はゴツゴツした手を握りしめ口を開き、震えた声でこう言った。
「今井 弥生さんが昨晩亡くなった。」
私はその言葉をすぐに理解できるような頭の作りではなかったため周りを見渡した。みんなぐしゃぐしゃの顔で泣いている。嗚咽ぎみに泣いている子もいた。
そんな状況の中 前田先生は続けた。
「詳しいことを知りたい奴もいるだろう。だが学校側は何も言えない。すまない。」
そういいながら先生は野太い声で泣き叫び始めた。だんだん自分の頭の中で整理がついてきた。今井弥生は亡くなったのだ。
弥生は小学生からの友達だった。
小学生からオタクだった私はクラスで浮いていた。だけど弥生だけは私を見てくれた。話しかけてくれた。そんな弥生だったからクラスでは男女共に人気があったのだ。
それなのに……。
今日5月27日は弥生の誕生日だからといってサプライズの計画さえしていた。
まさか、誕生日サプライズをしようと思っていた日に亡くなったという知らせを聞くとは。滑稽な話だ。
ユルサナイ
その言葉が頭に浮かんだ。別に誰かに殺されたなんて誰も言っていない。でもその言葉が浮かんだ。
不思議なことに涙は出てこない。その時の私を見た人はいうだろう。
''ひどいやつ''
そうだろう。別にそう思われても構わない。だって弥生を死においやった奴を殺すということしか考えていない私は''ひどいやつ''なんだから。