離婚前提策略婚。【改訂版】
「──へ?」


あいつの頬をぐにっと抓る。


「残念ながら、あんたが初めてじゃないから。 キスだけじゃなくてね」


こんな悪ふざけ、真に受けちゃだめ。余計男に相手にされてないって馬鹿にされる。

華乃、落ち着いて。


「…へぇ。残念」


薄く笑うこのチャラ男。今まで相当遊んできたんだ。

醸し出す雰囲気で、場慣れしてるって伝わってくる。


「冗談でもこういうことしないでね。次は本気で怒るから」

「冗談じゃない」

「──っ!」


う そ 。


唇が重なってる。


うそうそうそうそ!!やだ!なんで!最低!ふざけんな!!


「っ…!てぇ……」


握り拳であいつの頭を思いっきりぶん殴った。多分、これが火事場の馬鹿力ってくらいの力を込めた。

あいつは頭を押さえ起き上がる。


「あんたからキスされて喜ぶとでも思った?!勘違いすんな!わたしを今まで遊んできた女と一緒にしないで!わたし寝る!あんたはソファーか別の部屋で寝て!」


こんなやつと一緒にいたくない!

わたしは怒り心頭で寝室と思われる部屋のドアを開けた。


「─あれ?」


違ったみたい。ベッドがない。


他の部屋のドアを開ける。


「え、ここも違うの?」


部屋、無駄に多すぎ!
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