離婚前提策略婚。【改訂版】
結構きついな。こんなの数え切れないほどあったけど、最近のわたしは情緒不安定のせいもあって受け流せない。

声だけじゃなく心も震えて、平常心でなんていられない。


「…わたしやっぱり帰ろうかな」

「は?来たばっかだろ。俺眠いから一緒に寝る?」


ベッドに横になり、いつもとなんら変わらない顔をしている崇憲。


──なんで眠いの?なんて聞いても無駄。わかりきってる回答が返ってくるだけ。


「わたし眠くない」

「じゃ、俺寝るわ。お前は勝手にしろよ」
 

崇憲はわたしに背を向ける。

ちょうどいい。わたしも帰る為に背中を向けた。


「…マジで帰る気かよ」


ドキッとして立ち止まってしまった。

目に溜めていた涙が頬を伝う。


崇憲にバレたくない…!


急いで靴を履こうとしているうちに腕を掴まれた。


「──っ!離して!帰るんだから!」

「俺、お前じゃないと眠れないんだよ」


──だめ。こんな深い意味がない言葉、喜んじゃだめ!


涙を隠したくて顔を伏せた。


「…何言ってんの。誰とだって普通に眠れるでしょ」
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