離婚前提策略婚。【改訂版】
指示されて着いたパーキングに車を停めて、歩いてすぐの飲み屋に入る。


またなんかこじゃれた店だなぁ。店の選択もホストっぽいんだよ。まさかここも店員がバニーちゃんじゃないよね?


「いらっしゃいませ!」


お、普通だ。って当たり前か。

や、普通でもない。みんなアロハシャツだ。店の中も南国風の雰囲気。椰子の木があり、小さな滝の下を流れる川の上に橋が架かっている。色々な意味ですごい。


「あ!龍成さん!久しぶりですね!」

「えっ?龍成さん?!」


あいつの周りに女の子の店員さんが群がっていく。

皆、仕事しろよ。


「久しぶりって、先週来ただろ」

「なに言ってるんですかっ!週5は来てた人が6日も来てないんですよ!」

「よく覚えてんな」

「そりゃ皆龍成さんのファンですから!」


ふ、ファン?!こいつの?!


「あたしも今度飲みに連れて行って下さい!」

「あたしも!」

「ちょっと皆、俺今日特別な人と来てるんだよ」


え、なに、特別って。


「特別?!」

「どんな関係なんですか!?」


一気に女の子たちが騒ぎ出す。


ていうか仕事しないでこの店大丈夫なの?こいつもわざわざそんな言い方しなくていいのに。いつになったら座れるの。
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