離婚前提策略婚。【改訂版】
「って、どんだけ頼むのよ!」

「いっぱい食えよ。あんたの料理は期待もなにも出来ないし、俺が毎回作ってもいられねぇ。外食の時にがっつり食べておかないと、体調崩されたら俺が困る。看病だなんてごめんだし」

「うるさいな。それなら毎回出前とか、お金あるなら家政婦でも雇えば」

「お、それいいな」


意地悪そうに笑うこいつ。


なんとなくわたしのこと、気遣ってるのかな…。なんて、また自分に都合のいいように解釈してみる。ああ情けない。


注文を受けた店員さんがいなくなると、あいつはグラスを傾けた。


「乾杯」

「何に?」

「入籍祝い?」

「疑問系?」

「とりあえず」


わたしもグラスを傾け、二つのグラスは爽やかに音を鳴らす。


「うわ、あんた大丈夫なの?!」


て、テキーラを一気?!


「大丈夫だって」

「わたし介抱なんて絶対しないからね」

「いらねぇっつーの」

「もう、また注文しないと…」


あ、ちょうど店員さんが…。


「こちらにどうぞ」


わたしの後ろのテーブルに他のお客さんが誘導され入ってくる。

店員さんに声をかけようとしたその時──。
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