離婚前提策略婚。【改訂版】
「だから嫌でも聞こえてくるんだよ。男としてクズとしか思えない発言ばかり」

「嫌ならお前が出てけよ。あんまふざけたこと言ってるとどうなるか知らねぇぞ」


やだ、ほんとにケンカになりそう。どうしたら…


「聞き間違いだったら悪いけど、さっき華乃って聞こえたんだよ。それって桜庭華乃じゃねぇよな？」


…──！！


あいつにも聞こえてたんだ…！でもそれでどうしてこんなこと…。


「お前、華乃と知り合い？」


今まであいつと何も会話しなかった崇憲が、急に反応を示す。


「まじであいつかよ…。知り合いも何も、俺ら結婚したんだよな、華乃ちゃん」


げっ！


い、今、わたしに言った？！


「は？華乃って…」


背中に痛いくらい視線を感じる。


本当に何考えてるの？！最悪すぎて胸がドクドク気持ち悪い。

こんな惨めなことってないんですけど。


すっごく、すっっごく嫌だったけれど、ゆっくり振り返った。


一番先に崇憲と目が合った。これほど気まずいことはない。

帰ったらなにがなんでもあいつをフライパンで殴ってやろうと心に決めた。
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