離婚前提策略婚。【改訂版】
「華乃…」


崇憲の顔が固まる。かなり驚いたんだろうな。わたしも驚いたもの。


「ところでうちの奥さんのこと相当ひどく言ってたけど、あれ、本気で言ってんの?」

「──」


なんなの?これ以上わたしを惨めにしようとしてるの?


「華乃、マジでこいつと結婚したのか?俺のことが好きでしょうがないくせに」

「!!」


崇憲?!


真っ直ぐわたしを見つめる崇憲。

本気で言ってるのか冗談なのかわからない。どういうつもりでこんなことを言うの?


「あ…あの……わたし…」

「つーか俺への当て付けだろ。俺が飲みに行ってるから男連れてどっかで会えたら、なんて馬鹿げたことでも考えたんだろ。良かったな、思い通りになって」

「な…何言って…」


崇憲の言葉に手が震える。

怒りを通り越して、何を言っても無駄な気がする脱力感がわたしを包む。


「レベルの低い男だな」


──え?


「──!!」


あいつは崇憲の胸ぐらを掴んできつく睨み付けた。
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