離婚前提策略婚。【改訂版】
「女に対してんなこと言うなんて、お前ほんとに男?その発想力こそ馬鹿すぎて反吐が出る。ましてや俺の嫁に向かって言うとは、ある意味勇気あるな」

「──おい、てめぇ」


後の二人が立ち上がる。他の客も気づいたのか、空気が一層悪くなる。


「お前らみたいな低レベルな男が道具にしていい女じゃねぇんだよ。金ならやるから、二度とうちの嫁に近づくな」


そう言うとあいつはお財布から札束を取り出し、三人に向かって放り投げた。

三人とテーブルの周りにたくさんのお札が舞い落ちていく。


「華乃、帰ろ。二人だけで飲み直そう。それともこいつらと飲む?」


わたしの手を取り、柔らかく微笑みながらあいつは言う。

答えなんて決まっていたけど、崇憲の表情が気になり目を向ける。

崇憲はただ真っ直ぐ、わたしを見つめていた。


「帰ろう、龍成。わたし達の家に」


わたしが微笑み返すとあいつはふっと笑い、わたしの肩を抱き寄せ歩き出す。


「龍成さん!どうしたんですか?!」

「なにかトラブルとかあったんですか?!」


さっきの子たちがまたあいつに駆け寄ってくる。


「帰るわ。支払いはあいつらで」
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