離婚前提策略婚。【改訂版】
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「龍成、聞いてるの?」

「…」

「龍成ったら!」

「…あ、麻友ちゃん」


背中を叩かれようやく気づく。


「仕事熱心なのはとてもいいけど、ちゃんと聞いてちょうだい」

「わり。なんだよ」


今日の朝食、お茶漬けって…。

あいつ自信満々に作った顔しやがって、お茶漬けなんて料理じゃねぇっつーの。

ということを考えていただけで、資料なんてほぼ頭に入ってなかった。


「お父様、仕事が順調で一時帰国するみたい。早くあなたたちの結婚祝いをしたいって」

「は?いつ?」


うわ、計算外もいいとこだよ。勘がいい親父に絶対に計画がばれないようにしないと。…どうすっかな。


「三日後の予定よ。桜庭さんのお宅に挨拶に伺うわよ。結納はお父様の海外出張が全て終わってからにしましょう」

「結納はいらないだろ」

「そんなわけにはいかないわ。大事な桜庭さんのご息女をお嫁に貰うんだもの。やることをちゃんとやらないと神田家の恥になるわ。どうしてもしたくないならお父様を説得するのね」

「親父を?できるわけねぇだろ。あの頑固で俺の話なんて聞かない堅物」
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