離婚前提策略婚。【改訂版】
華乃の声だ。店から出てきたのか。

あの男も一緒だ。昨日といい何なんだこのタイミング。わざとか?こいつ。


特に気にはしないものの、二人は俺に気づかず話し出す。


「昨日はごめん。酔ってたしあいつらの前だから見栄張っちまった」


想像通りの展開に吹き出しそうになる。

あそこまではっきり「捨てた」なんて言っておいて、情けねぇ男だな。


「別にいい。ていうかどうでもいい」


お、華乃ちゃん言うね。


「俺がお前に捨てられたなんて言えなくて…」


なんだ、そうだったのか。あいつも結構やるじゃねぇか。


「だからどうでもいいって。そんなこと言いに来たの?バイト中なのに迷惑なんだけど」

「お前、あれからずっと連絡してもシカトばっかで話もできないから」

「話すことなんてない。もう来ないで」


強気の華乃ちゃん、どこまで続くかな?


「華乃、許してくれ。あんなの本心じゃない。ムカついてるならいくらでも殴っていい。俺にはお前しかいないんだ」


ぶはっ、三流ドラマかよ。


「そんなのもう聞き飽きたから。崇憲の言うことなんて信用できるわけない」


…ん?この感じ、揺れてそうな言い方だな。
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