離婚前提策略婚。【改訂版】
「華乃…俺は…」

「あんたも暇つぶしだったでしょ?でもわたしは彼が結婚したいって言ってくれたから二つ返事で結婚したの。少なくとも今のあんたよりは彼の方が断然好き。わかったらもう関わらないで」

「…お前、泣いてるくせに」

「─じゃあね。ほんとにさよなら」


華乃は店に入り、あいつは華乃の後ろ姿をずっと見つめていた。


苦しそうな顔。まさか本気で言ってたのか?


こうなったら実際今言ったことが本心だとしても、それが相手に届くことはほとんどない。

残念だったな。失ってから気づいたってどうしようもねぇんだよ。


…にしても華乃のやつやるじゃねぇか。

そのまま流されてまたあいつの都合のいい女に戻るかと思ったら、あんなはっきり言うなんて。


…思ったよりいい女だな。見直したわ。


って、なんで俺がにやけてんだよ、気持ちわりぃ。


もういいだろうと店に入ろうとすると、


「──あ。」


すっかり忘れていた。あいつがいることを。


てか、まだここにいたのか?思いっきり目が合ってしまった。


「お前、華乃の…」

「俺の奥さん、呼び捨てにしないでくれる?」
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