離婚前提策略婚。【改訂版】
「あ…。そうよね。…実は桜庭部長から、華乃さんが素晴らしい女性で大和撫子のような方だって聞いていたの。だからわたし、そんな女性とあなたが結婚してくれたらって思って…。桜庭部長の言葉を鵜呑みにしてあなたと結婚させてしまったの」


させてしまった?その言い方、結婚自体が間違いだったって聞こえるな。


「…俺が華乃と結婚したこと、後悔してんの?」

「後悔というか、あなたに申し訳ないことをしたと思って」


申し訳ない?どんだけ今更なんだよ。


「なにが?」

「…だって、華乃さんが龍成を支えられるとは思えないもの」

「どうして」

「え?……次期社長夫人として相応しくないわ」

「だからどうしてだよ」

「…わたしの口からは言えないわ」


……まさか。


「なぁ麻友ちゃん。それ、見た目がどうこうの話じゃないよな?」

「あなた、週刊誌に載ると必ず綺麗な方と一緒じゃない。それに社長夫人はやっぱり見栄えも大事でしょう?華乃さんに務まるかしら」


───。


なんでこんなにムカつくんだよ。


麻友ちゃんの言ってることは確かに合ってるんだ。正論とは言えないけれど、間違ってはいない。


社長夫人の容姿や能力次第で社長のメンツが左右される場合がある。


んなこと頭ではわかってる。


それなのに、なんで俺はこんなにムカついてるんだよ。
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