離婚前提策略婚。【改訂版】
「気づくの遅すぎ」

「ちょっと!やだ!離してよ恥ずかしい!」

「そんな照れなくていいって、華乃ちゃん♪」

「照れてないから!痴漢で訴えるよ!」

「だからさ、俺ら夫婦だっつーの」

「いいから離せ!」

「…仕方ねぇな。続きは夜だな」

「はあ?!」


マジで頭おかしいんじゃないの?!ありえない!


「そんなおめかししてどこ行くつもり?」

「おめかしって!」


子供かい!


「知らない女かと思ってよくよく見たらびっくりしたわ。別人みてぇ。人違いじゃなくて良かった」


びっくりしたんだ。やった。なんだか嬉しい。


「そ、それって悪い意味じゃないよね?」

「んなことねぇけど、なんでいきなり?」

「ただの気分転換だから気にしないで」

「ほんとに?俺はてっきりまたあの男に会う為かと思った」


あの男?──って崇憲しかいないよね。こいつ、そんなこと思ったんだ。


「まさか。それだけはないわ」

「じゃ、やっぱり俺の為?」

「うん。それもない」

「うんって、おい。つまんねぇな。俺の為なら可愛かったのに」
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