離婚前提策略婚。【改訂版】
そう言って一人、レディースの靴を見始める龍成。


ほんとに何がしたいんだろ。なんでわたしを自分好みにしたがるの?それもいつも女の子に使う手?

わたしはただの半年間の契約相手でしょ?今になって悪いことしたなんて罪悪感が出てきたとか?


…それともわたしが原因で龍成の両親と本当に何かあったりして…。


「これ履いてみろよ」

「…こんなのわたしに似合うわけないじゃない」


差し出された靴は、普段わたしが気にもとめないデザインの靴だった。


いや、気にもとめないんじゃない。履きたくても自分には絶対似合わないと思って敬遠していたタイプの靴だ。

センスがよくて素敵だなと思っても手に取ることさえしなかった。見るからに可愛くてわたしには到底似合わないとわかりきっているのに、なんでこういう靴を選ぶの。

嫌がらせか?


「は?何言ってんだよ。俺が選んだんだから似合わないわけねぇだろ」

「なにその決め付け。なにその自信」

「いいから騙されたと思って履いてみろよ」

「龍成なら本当にわたしを騙すわ」

「……。」


話が進まないことにイラついたのか龍成は小さくため息をつくと、突然わたしを近くにある椅子に座らせた。
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