離婚前提策略婚。【改訂版】
「うるせぇな。騒ぐな病んデレラ」

「だからそのやんでれらってなに!」

「俺が勝手に決めるからな」

「や!なんで?!結婚指輪、いらなくない?!半年だけなのに…」


っと、やばい。こういうこと口にしちゃいけないんだった。

慌てて口を手で抑える。


「…形は大事だろ。つーか新婚が結婚指輪してなかったら怪しまれるだろ。普通に」

「…そ、そうだね…。たしかに…」


でも結婚指輪って…。愛し合ってもいない二人がつけていいものじゃないよね。

──って、憧れは切り捨てなきゃ!


龍成が選んだ指輪は悔しいけどセンスが良くて、結婚指輪としてじゃなく普通につけていたいくらいの物だった。


「記念になんか刻んどく?」


軽いノリでわたしに問いかける龍成。また偽装結婚の記念とか?


「したいならどうぞ」

「じゃ、ありがちにイニシャルでも」

「ほんとありがちだね」


龍成が注文をしている間、わたしは適当に歩き回りながら、時間を忘れ輝くジュエリーに翻弄されていた。


「次行くぞ」


またさりげなく手を繋がれる。

それに慣れてきている自分が不思議でたまらない。


「どこ行くの?指輪見せて」

「どっかで夕飯。指輪はあとで」
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