離婚前提策略婚。【改訂版】
「え、なんで今見せてくれないの?」

「なくされたら困る」  

「失礼ね!なくさないわよ!」

「つーか何食べる?腹減った」

「ん~…。なんでもいい」


…なんか普通のデートだよね、これ。


ドキドキするな。きっと全部が初めてだからだな。他の人はもっと早い歳で経験してることだよね。


24になって初めてのデートだからか、ドキドキが止まらない。


「…えっ!ここで食べるの?!」

「なんでもいいんだろ?」

「ここってすごく有名なレストランじゃない?!」


ショッピングモールの最上階にあるそのレストランは、テレビや雑誌で見る有名店。もちろんわたしは入ったことがない。


「知ってんの?」

「知ってるもなにも、ずっと来てみたかったの!でも高級だし予約もとれないから、ちょっと憧れてたんだよね」

「じゃ、尚更ここで食わねぇと」

「え?予約してあるの?」

「してないってか俺は予約不要」

「え、なんで?」

「なんでって、この店うちの会社でやってるの知らねぇのかよ」

「──はあ?!嘘でしょ?!」

「正確にはうちのグループだけど。自分の親父が働いてる会社のこと、全然知らねぇんだな」

「お父さん、仕事とか会社の話あまりしないから…。ほ、本当に入れるの?」
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