離婚前提策略婚。【改訂版】
「イニシャルはつまんねぇだろ?」

「自分の指輪にすればいいでしょ」

「あほか。自分の指輪に自分の名前入れてどうすんだよ」

「落としたら戻ってくるかも」

「あのな、」

「ていうか今さらだけど早くない?!こんなに早く出来るものなの?!」

「そりゃ、あの店もうちでやってるから」

「はあ?!」


なんだって?!


「てのは冗談で、ただのペアリングだからな。半年しか必要ないし形だけで充分だろ。俺が急がせたら一瞬で出来ちゃうんだよ。金持ちの特権ってやつ?華乃ちゃん、すごい?」


にこっと子供のような笑顔を向ける龍成。

指輪なんて縁がなかったわたしのことを、思いっきりからかってるな。


「…てことは、龍成の指輪にはわたしの名前が入ってるってこと?」

「いや」

「は?!」

「俺のには何も入ってない」

「な、なんで」

「え?だせぇから」


こ、この野郎…!!!


「…ほんとふざけた男だわ」

「つけてあげようか?」

「いらないし」

「ちゃんとつけろよ。なくすなよな」

「えーどうしようかなー」

「こら。今すぐつけろ」

「なんでよ。いつつけようとわたしの勝手でしょ」

「そんなこと言って、華乃ちゃんのことだからそのままつけないんだろ?」

「そんなこと言って、龍成のことだからそのままつけないんでしょ?」

「「……」」
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