離婚前提策略婚。【改訂版】
随分謙虚だな。俺が次期社長だからか?それとも入籍したからか?

まぁ、どっちもだろうけど。


誘えばいくらでも遊んでやるのに。─って、今はだめか。


「あっ、ありがとうございます!すっっごく嬉しいです!」

「真奈美ちゃんだっけ?素直で可愛い子だね。君がいるなら、今度経理課に遊びに行こうかな」


すると彼女は更に顔を赤くさせる。

女のこういう反応を見るのが久しぶりで、無駄にからかいたくなる。


「そんな!とんでもないです!こうして偶然会えただけで、わたし幸せです!」

「ぶっ!どんだけだよ。俺、普通の人間なんだけど」

「それはそうなんですけど!声を掛けるのもおこがましいと言うか…。掛けてしまったんですけど…。すみません…」

「謝ることないだろ。別に迷惑だとか思ってないし」


その時、車のクラクションが鳴り響いた。


─ようやく来たか。


運転席に乗る華乃の不機嫌そうな顔が目に入る。


「じゃあ俺、嫁が来たから帰るわ」

「─え?!よ、嫁って、ご結婚されてたんですか?!」

「…真奈美ちゃん、社内報見たんじゃないの?」

「あ…はい。拝見しましたが…」
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