離婚前提策略婚。【改訂版】
「入籍の記事も見ただろ?」

「いえ…。入社の記事しか…」


かなり衝撃を受けているように見える。

本当に知らなかったのか?


「そっか。俺結婚してるんだよ。でも気にせず見かけたら声掛けて。じゃ、お疲れ様」

「…お…お疲れ様でした……」


とりあえず笑顔で立ち去る。


見るからに落ち込んだ表情。あんなショックを受けてるってことは、俺に憧れてるのは本心のようだな。それなら社内報の俺の記事は一通り読むはず。

それなのに俺の入籍を知らない?


…まさか麻友ちゃん、入籍は記事にしなかったのか?


「お疲れ様」


車に乗り込むと、ひどく仏頂面の華乃。


「華乃ちゃん?旦那様が疲れてんのにその顔、ケンカ売ってんの?それもかなり待たせといて」

「だから遅れて悪いと思って急いで来たのに、可愛い子と楽しそうに何かずっと話し込んでるし」

「ずっと見てたんですか?」

「邪魔しちゃ悪いと思って待ってたの!でもいつ終わるかわかんないくらい盛り上がってたから、仕方なくクラクション鳴らしたでしょ」

「妬いてるなら妬いてるって素直に言えよ」
< 203 / 461 >

この作品をシェア

pagetop