離婚前提策略婚。【改訂版】
「─龍成さん、どうしたらあなたのそばにいられますか?わたし、どうしても諦められない」

 
泣き顔まで絵になるなんて犯罪だぞ、真奈美ちゃん。


計算つくされた男の理性を崩す表情。流す涙さえ武器になる。

こんなん、普通の男じゃ理性もくそもなくなってるだろうな。


「諦めることはないよ。こんな可愛い子が俺を好きでいてくれるのは、男として光栄だ」

「それなら…」

「ただ、俺が君の気持ちに応えることは一生ない」

「──」

「これでも俺、愛妻家なんだよ。ましてや次期社長が不倫だなんて体裁悪すぎだろ。そこまで考えがいかない女、相手にするわけないだろ」

「──っ!ごめんなさい!わたし、そういうつもりじゃ…」

「どういうつもりでもいいけど、自ら不倫相手になろうとする女、丁重にお断りさせていただきます」


わざとらしく丁寧にお辞儀をしてその場を立ち去ろうとした。

が。


「──」


突然後ろから抱きつかれた。


「龍成さん!それならわたしに思い出をください!一度だけ!お願いします!無理を言って困らせてごめんなさい!だけどわたし、このままじゃ立ち直れないっ!」
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