離婚前提策略婚。【改訂版】
立ち直れない?んなこと俺に関係ねぇだろうが。どこまで粘るんだよ。

それだけ俺がいい男だから…って冗談言ってる場合じゃない。


必死すぎるというか、切羽詰まっているかのように見える。

なんだこの感じ。どこか裏がありそうな…。


「真奈美ちゃん、もっと自分を大事にしなよ」


俺に抱きつく真奈美ちゃんの手をゆっくりと離す。


「龍成さんに少しでも近づけるなら、わたしなんてどうなったって構わないです!龍成さんしか見えないんです!」


…段々面倒になってきた。

裏があるのか知らねぇが、もういい加減帰りてぇ。運転手だってかなり待たせてる。華乃のバイトが終わってたら、もっと面倒なことになる。


「既婚者に簡単にそんなことを言う女、願い下げ」

「……」


いくら泣きはらした目で見られても、どうしようもないんだよ。


「俺には全部計算にしか見えない。計算高い女は嫌いだ。そういうくだらない化かし合いがしたいなら、馬鹿な男とやってろよ。じゃあな、真奈美ちゃん」


冷たく笑い、吐き捨てるように言葉を連ねる。これ以上は相手にできない。

足早に立ち去り、車に乗り込んだ。
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