離婚前提策略婚。【改訂版】
つーか勢いのまま寝室に入ったけど、これじゃあいつ入ってこれねぇよな?

俺だけベッドに寝るのも気が引けるし、仕方ねぇ、冗談だってフォローしてやるか。そしたら少しはまともにできるだろ。

と、ドアを開け寝室から出ると、華乃の姿はなかった。


どこ行ったんだ?


「あ、龍成。わたしシャワー浴びたから使っていいよ」

「……」


振り返ると浴室から出てきた様子の華乃が立っていた。


「わたし、なんか今日疲れちゃったから寝るわ。おやすみ」


そう言って寝室に入ろうとする。


──ちょっと待て。


普通すぎるだろ!なんだこいつ!わけわかんねぇ!まさか、本気で気づいてねぇのか?!


俺の思い込みや勘違いなはずはない。

こいつからの好意は、間違いなく感じてるのに…!


「…なによ、離して」


思わず俺は通り過ぎようとする華乃の手を掴んでいた。


「…髪、濡れたまま寝るのかよ」

「いいの。眠くてしょうがないから」


あまりに普段通りの華乃に、なぜか俺は動揺し手を離す。


「風邪引くだろ。それに枕まで濡れる」
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