離婚前提策略婚。【改訂版】
「大丈夫。明日ちゃんと乾かすよ。おやすみ」


俺を見ずにドアを閉めた華乃。


「……なんで……」


無意識のうちに口にしていた言葉。


寝室のドアの前に立ち尽くす。


なんでここまで普通にしていられる?

なんで何事もなかったように接せられる?

なんであのあと、即行でシャワーなんて出来るんだよ。


鈍感とかじゃなく隠してるのか?自分の気持ちを。俺にばれるのが嫌だから……。


…つーかなんで華乃より俺の方が動揺してんだよ。


いつも通りの華乃にいつも通りに出来なかったのは俺だ。

自分から仕掛けといて、ありえないくらい情けねぇ。馬鹿は俺じゃねぇか。


またイラつきだし、シャワーを浴びる。


情が移ったとは言え俺が振り回されるなんてあってはならないこと。俺が振り回されるなんて無意味としか言いようがない。


…そういえばなんで俺は華乃を落とそうとしてたんだ?


……あ、あいつがあんまり俺になめた態度をとったからか。


自分自身のプライドの為だったな。
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