離婚前提策略婚。【改訂版】

専務の策略

──クラブ、プラチナ。明るく上品な店内は平日でも賑わい、満席に近い状態。

入店して数ヶ月、真奈美は客からのウケはいいものの、固定客を中々掴めずにいた。

昼の仕事でリストラにあい、無職の状態でこの店にスカウトされ働くことを決めた。しかしそれも後悔し始めていた。


(どうして皆、メールや電話はくれるのに店には来てくれないの?外で会いたがられても意味ないっつーの。来るのは細客ばっかり)


今日は指名客がいなく控え室で携帯をいじっていると、孝志からメールが届く。


(専務達は行くけど俺は仕事で行けない?──もう、せっかく付き合い始めで一番楽しい時なのに全然会えないじゃん。ま、借金返すまでの辛抱だもんね。来たところで孝志はわたしを指名なんてしないし)


「マナちゃん、ユユちゃんのヘルプお願い」

「はーい」


(ユユさんの指名客かぁ。一杯くらい飲ませてくれるかな。って、専務?あのおじさん、怖そうで苦手なんだよね)


「いらっしゃいませー!失礼します!お疲れ様でーす」

「ユユは他の客か?」
< 234 / 461 >

この作品をシェア

pagetop