離婚前提策略婚。【改訂版】
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「龍成、橘常務に連絡したの?」

「したよ。来週になった」

「そう。お父様も時間が合えば行くと思うわ」

「いらねぇ」

「何言ってるのよ。明日には帰国なさるのよ」

「明日?!急すぎだろ!もっと早く言えよ!」

「わたしも昨日聞いたばかりなの。それでも予定より二日早いくらいよ。取引先との契約が上手くいったみたいだから、お祝いとお疲れ様のパーティーでもしましょう!」

「俺はいいわ。てか今日はもう帰る」

「えっ、まだ終わってないわよ!」

「明日やるから。お疲れ」

「もう!龍成ったら!明日は早く来なさいよ!」


麻友ちゃんの声など耳に入らず、俺は社長室を後にする。


仕事をする気になんてとてもなれなかった。

頭の中を何度も同じ疑問が巡って、答えがまるで見えない。

考えすぎているせいか、変に疲れてやる気も起きない。


「今日は少し時間が早めですが、奥様のアルバイト先でよろしいんですか?」

「ん、よろしく」


まだ華乃のバイトが終わっていないとわかっていながら、いつも通り迎えに行く。


流れる景色を見ながら、また無駄に考え込む。
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