離婚前提策略婚。【改訂版】
「華乃ちゃん、多分裏で発注確認してると思うから、それ終わったら上がっていいって伝えてください」

「わかりました。ありがとうございます」


店長と有希ちゃんに会釈をし、従業員専用のドアをノックする。


「──はい」


ドアが開くと、にこやかに華乃が顔を出す。


「お疲れ」

「え、なんで?」

「店長が発注確認終わったら上がっていいって」

「え、なんで?」

「なんでもくそもねぇだろ」

「早過ぎじゃない?もう仕事終わったの?」

「だから来たんだろ。早くしろよ」

「店長が本当にそう言ったの?」

「そうだって」

「…もう少しだから外で待ってて」

「なんで外なんだよ」

「あんた目立つから」

「はあ?別に…」


バタンとドアを閉められる。


…このやろ…。


ふっと小さくため息をつき、言われた通り外に出る。


──なんでもいいから早く来い。
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