離婚前提策略婚。【改訂版】
「…やっぱ何度見ても綺麗だな…」


目的地に到着し車を停めエンジンを切ると、華乃は小さく呟いた。


「……そうだな」

「この間はちゃんと見れなかったから尚更綺麗」

「ちゃんと見てただろ」

「気持ち的にね、夜景を見る余裕があまりなかったから」


夜景に夢中になる華乃の横顔を盗み見る。


それは本当に小学生のように幼く純粋で、もしも許されるのならばいつまでも見ていたくなるような、そんな気になってしまう表情だった。


「ね、龍成はデートでここに来たことないの?」


急に振り向かれドキッとする。

なんでそんな笑顔なんだよ。


「──ねぇな」

「いっぱい遊んでたんでしょ?夜景見に行こう!とかならなかったの?」

「違うとこになら行った。でも夜はほぼ室内だったから」

「…チャラ男。きもい」


笑顔が一変、仏頂面で俺を睨む華乃。


「なんでだよ。変な想像して、お前の方が変態じゃねぇか」

「なっ!違う!」

「華乃ちゃん。あいつと別れて寂しいなら、優しい旦那様が相手してやってもいいよ?」
< 248 / 461 >

この作品をシェア

pagetop