離婚前提策略婚。【改訂版】
この反応。やっぱわかってたか、専務の策略。


「麻友ちゃんこそ何か知ってんのかよ」

「──っ」


思いっきり困った顔。言いづらいだろうな。孝志の話が本当ならば。


すると親父が小さく息を吐いた。


「お前、千葉専務と面識はあるのか」

「ない。挨拶に行った時はいなかったし、向こうから来た時は俺がいなかった。エレベーターでチラ見したくらいか」

「…そうか。専務が次期社長を狙っているのは知っているか?」

「あ、あなた…」


麻友ちゃんは焦っているが、親父は表情を崩さず俺を見つめる。


「…なんとなく」

「それもお前のスキャンダルを集め、俺の責任にし解任させ、お前も代表にさせないつもりだ」

「…親父は俺を本気で社長にさせる気なのか?」

「当たり前だ。何の為の一人息子だ。いくらボンクラでも月日をかければそれなりにはできるようになる。俺の血を引いているのだから」


当たり前か。親父の中での俺は跡取りでしかない。継ぐ気なんてないんだってのに…。
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